2016年 春期公演
【登場人物】
鬼…桃太郎に退治された後改心して、今では人間とも仲良く暮らしている。
猫…お供に名乗り出た優しい猫。女の子を大事にする。
羊…ゆるいけど、意外と強くて頭がいい羊。
桃太郎…いろいろあってぐれてしまった桃太郎。
犬…桃太郎を慕っていて、今でもお供として一緒にいる。雑魚キャラっぽい。すごく弱い。
猿…大体犬と同じ。ちょっとうるさい。
雉…女の子。桃太郎が好き。気は弱いが行動力はある。
シーン0
(ナレーションに登場したら実際に人形を出す)
(羊):昔々あるところに、桃から生まれた桃太郎という青年がいました。
ある日、桃太郎は、悪さをする鬼を退治するために、鬼ヶ島へ行くことにしました。
(猫):桃太郎は途中で出会った犬・猿・雉にお供になってもらい、鬼ヶ島へ行きました。
犬は噛みついて、猿はひっかいて、雉はつついて、そして桃太郎は刀を使って戦い、鬼を退治しました。
シーン1
桃:鬼退治も終わったことだし、俺はふるさとの村に帰るけど、みんなはどうするんだ?
雉:あの、もう少し桃太郎さんと一緒にいてもいいですか?
犬:せっかくですし、桃太郎さんが村に着くまではお供しますよ
猿:僕もそうしますよ。とくに用事もないですし
桃:みんな、ありがとう。鬼、お前はどうするんだ?
鬼:どうするって言われても、悪さをしていた俺には他に行く所はないだろ
桃:そんなことはない。どこかで人間の手伝いをして暮らせばいいじゃないか。
畑仕事を手伝ってくれる人を探してる村はたくさんある
鬼:こんな俺でも役に立てるかな?
雉:大丈夫ですよ。
鬼:じゃあ、荷物をまとめたらどこかの村に行ってみようかな。桃太郎、色々とありがとう。元気でな
桃:ああ、またどこかで会おう
シーン2
(桃・犬・猿・雉は右から入ってくる)
桃:もうすぐで村に着くのに、全然人がいないな
雉:桃太郎さん、あそこに看板がたっていますよ
犬:えーと…村に入るなって書いてありますね
猿:下の方には『桃太郎は村に帰ってくるな』って書いてありますよ!
雉:そんな、酷いです。どうして…
桃:良いことをしたのに、帰ってくるなって言われるなら、いっそのこと…
シーン3
犬:今日もたくさん悪さしましたね!
猿:畑を荒らしてやりましたし
犬:金目のものを奪ってやりましたし
猿:明日はどうしましょうか
雉:あの、桃太郎さん。たくさんの村を荒らしましたし、もうやめた方がいいんじゃ…
桃:(遮って)明日は隣の村で悪さをするぞ
犬:いいですね、そうしましょう!
猿:そうだ、そろそろ桃太郎さんのふるさとの村にも悪さしに行きましょうよ
桃:いいや、あの村は一番最後の楽しみにとっておいてるんだ。
まずは周りの村で悪さをして、最後の最後にあの村で大暴れしてやる
犬:なるほど。それはいいですね
猿:さすが桃太郎さん!
桃:よし、それじゃあ鬼ヶ島に戻るぞ!
犬・猿:はい!
(桃太郎・犬・猿は右(裏から見て)に去っていく)
雉:ど、どうしよう…。桃太郎さん、やっぱり私の言葉なんて聞いてくれない。
そうだ!あの人なら桃太郎さんを止めてくれるかも!
(雉は左に去っていく。)
シーン4
鬼:さてと、今日の仕事はこれで終わりだな。ようやく村の人たちとも仲良くなれたし、良いことをするのって気分がいいなぁ
雉:鬼さん!鬼さんはいませんか?
鬼:だれか呼んでるな。おーい、俺を呼んでるのは誰だぁ
(雉が左から登場)
雉:いたいた。私は桃太郎さんのお供だった雉です。覚えていますか?
鬼:ああ!あの時の!そんなにあわててどうしたんだ?
雉:今日はあなたにお願いがあってきました。どうか桃太郎さんが悪さをするのをとめてもらえませんか?
鬼:桃太郎が悪さをしてるって噂は本当だったのか。もしかして、桃太郎が鬼ヶ島にいるっていう噂も本当なのか?
雉:はい、本当です
鬼:本当だったのか…。でも、どうして君はそんなことを俺に頼むんだ?
雉:あなたと別れたあと、人が変わったように悪さばかりするようになった桃太郎さんが心配なんです。
でも、桃太郎さんは私の言葉なんて聞いてくれないんです。
鬼:そういうことだったのか。わかった。協力するよ。
雉:ありがとうございます。そうだ!桃太郎さんのもとには今でも犬と猿がいます。
鬼さんもお供を連れて行ったほうが良いかもしれません。
鬼:そうだなぁ。じゃあ、途中でお供を集めながら行くとするか。雉さん、君も来るかい?
雉:そうしたいのですが、私は他に行かなきゃいけないところがあって…。でも、それが終わったら必ず鬼ヶ島に行きます。
鬼:わかった。じゃあ、先に行ってるよ。
雉:はい。では、またあとで。
シーン5
鬼:なかなかお供が見つからずに、こんな森の奥まできてしまったけど。誰かー!お供になってくれないか?
(猫が左から登場)
猫:鬼さん、何かお困りかい?
鬼:こんにちは。そうなんだよ、猫さん
猫:詳しくお話を聞かせてほしいな
鬼:実は、最近悪さをしている桃太郎たちを止めてほしいと、雉さんに頼まれたんだ。
猫:なるほどね。そういうことなら、僕をお供にしておくれよ。雉さんって女の子だろう?
困っている女の子を放ってはおけないからね
鬼:猫さん、ありがとう。何のお礼もできないけど、いいかな?
猫:そんなの、全然構わないよ。さあ、行こう!まだ、お供は僕だけなのかい?
鬼:そうなんだよ。できればもう1人くらいほしいんだけどなぁ。
猫:それなら、僕の友達を紹介するよ。近くにいるからさ
(鬼・猫は左に去っていく)
シーン6
猫:いたいた。おーい、羊さーん!
羊:あー、猫くんだぁ。こんにちはぁ。
猫:こんにちは。突然だけど、僕と一緒に鬼さんのお供になってくれないかい?
羊:うん、いいよー。
鬼:ほ、本当にいいのか?鬼ヶ島に行くんだけど。
羊:うん、いいよー。
鬼:桃太郎を懲らしめるためなんだけど
羊:うん、わかったー。
鬼:犬と猿とも多分戦うことになるけど
羊:うん、頑張るねぇ
鬼:本当に大丈夫なのかな?
猫:大丈夫さ。羊さんはこう見えてすごく強いし、すごく頼りにもなるから。
鬼:そ、そうなのか…。じゃあ、よろしく。
羊:うん、よろしくねー。
シーン7
鬼:ついに鬼が島に着いたぞ
羊:長かったねぇ(めぇ)
猫:桃太郎たちはどこにいるんだい?
羊:多分だけど、こっちじゃないかなぁ。何度もこの道を通った跡があるよぉ
鬼:本当だ。じゃあ、行こうか
犬・猿:ちょっと待った!
(犬・猿が左から登場)
鬼:お前たちはあの時の犬と猿じゃないか。
犬:雉がいなくなって、いやな予感がすると思ったら
猿:まさかお前が来るとはな、鬼め!さっさと帰れ!
犬:ここから先へは行かせないぞ!
猿:桃太郎さんを懲らしめる気なんだろう!
鬼:まさかここで犬と猿に邪魔をされるなんて
猫:なら、ここは僕たちに任せて先に行っておくれよ
羊:僕たちが道をつくるよー
(犬・猿がしゃべっている間に羊・猫と鬼が入れ替わる)
犬:そうはさせるか!また噛みついてやる!
猿:引っ掻いてやる!
羊:そうは行くかぁ。行くぞー。どーん。
犬・猿「うわぁ!
(羊が犬と猿に体当たりして跳ね飛ばす。犬・猿は後ろに跳ばされる)
猫:今だ!抑えよう!
(猫と羊は犬と猿の前に行き、抑える)
鬼:ありがとう、羊さん、猫さん。
(鬼は言いながら左に去っていく)
(猫・羊・犬・猿は前に戻る)
犬:な、なにするんだよ!痛いじゃないか!
猿:鬼が行っちゃったじゃないか!
猫:さてと、どうしてやろうか
羊:僕は猿を倒すからぁ、猫くんは犬を倒してくれるかい?
猫:任せておくれよ。
犬:そうやってのんびり話してる間に噛みついてやる!わん!
(犬は猫に飛びかかるがかわされる)
猫:噛みつかれるのは嫌なんだよね。今度はこっちから攻撃だ!にゃー!
(猫、犬に攻撃)
犬:痛い痛い!やめてくれ!降参だぁ
猿:うーん…。逃げようかな。
(猿逃げようとする)
羊:逃がさないよー。どーん。
猿:うわぁ!
(羊、猿に体当たり。猿吹き飛んで犬の上に落下)
犬・猿:わぁ!
猫:これでよし!さあ、鬼さんを追いかけよう!
羊:そうだねぇ。この2人も連れていこっかぁ
(猫と羊は犬と猿のところに集まっていく)
シーン8
鬼:さて、桃太郎はここにいるはずだ。おい、桃太郎!出てこい!
(桃太郎は左から登場)
桃:お前はあの時の鬼じゃないか。ここに何の用だ
鬼:お前が悪さばかりしていると聞いたんだ。もうそんなことはやめろ!雉さんが心配していたぞ。
桃:雉のやつめ。まったく、使えないやつだな。
鬼:なんだと!?そもそもお前は悪さをしていた俺を退治した英雄だったはずだ。それなのに、どうして悪さをするんだ?
桃:それは楽しいからさ。お前だって昔悪さをしていたんだからわかるだろう?
鬼:そんな俺を退治して悪さをやめさせたのはお前じゃないか!
桃:それなら俺を退治してみるか?退治されたって悪さをやめる気はないけどな。
鬼:いいや、雉さんのためにも昔のお前に戻るべきだ!そのためにお前を懲らしめる!(ここで金棒・刀出す)これでもくらえ!
(鬼、金棒を振り下ろす。桃太郎避ける)
桃:なんだ、その程度か。今度はこっちが攻撃する番だ!
(桃太郎刀を取り出し鬼に切りかかる)
鬼:うわっ
(鬼追いつめられる)
桃:これで終わりだ!
雉:鬼さん!桃太郎さん!
(雉左から登場)
雉:えい!
(桃太郎をつつく)
桃:何をするんだ!鬼を頼った挙句、味方するなんて。俺を裏切るのか。
雉:私はあなたにこれ以上間違ったことをしてほしくないんです!今です、鬼さん!
鬼:ありがとう。よし、今度こそ。えい!
(鬼、金棒を振り下ろし桃太郎に当たる)
桃:うわぁ!
(桃太郎はやられてしずむ)
鬼:雉さんありがとう。桃太郎を止めることができたよ。さて、桃太郎に悪さをやめるよう約束してもらわないと。
シーン9
鬼:つまり、桃太郎が悪さをするようになったのは、村に入れてもらえなかったことに腹を立てていたからなんだな?
桃:ああ、そうだ
猫:たしかに、帰ってくるなって書いてあったのはかわいそうだけど
羊:でも、何か理由があったんじゃないかなぁ?
雉:あの、実は私、鬼さんとお話をしたあと、おじいさんとおばあさんに理由を聞くために、会いに行ったんです
桃・犬・猿:なんだって!?
犬:だって、村には入れないんじゃないのか
猿:それに、今更会ったからって何になるんだ
雉:私、おじいさんとおばあさんから手紙を預かってきました。桃太郎さん、読んでください
(手紙わたす)
桃:『桃太郎へ。1年前はごめんなさい。実はあの時村では病気が流行っていて、
私たちはあなたに病気をうつさないために帰ってくるなと言ってしまったのです。』…なんだって!?
猫:そういえば、ちょうど1年くらい前だったね。一部の村で病気が流行っていたのは。
雉:はい、そうなんです。おじいさんとおばあさんは、桃太郎さんのことをとても心配していましたよ。
桃:それなのに、俺は勝手に勘違いして、悪さをしていたのか
鬼:でも、お前だけが悪いわけじゃないんだ。一緒に謝りに行こう。
桃:そう言ってくれてありがとう。雉さん、どうしてここまでしてくれたんだ?
雉:それは、桃太郎さんが本当はいい人だって知っていたからです。
だから、元の優しい桃太郎さんに戻ってほしかったんです
桃:そこまで俺のことを大切に思っていてくれたなんて…。そうとは知らず今まで冷たくしてしまってすまなかった。
君に恩返しもしたいし、雉さん、君さえ良ければこれからも一緒にいてくれるかい?
雉:はい!
(煙を出して、雉が消える)
犬:雉がいなくなった!
(こはるに変わったら煙下げる)
猫:うわぁ、かわいい人間の女の子だ~
雉:ありがとうございます、桃太郎さん!ようやく呪いが解けました!
桃:ど、どういうことだ?
雉:私の名前はこはると言います。実は、昔村にやってきた怪しい旅人に呪いをかけられていたんです。
猫:じゃあ、呪いのせいで雉の姿に変えられてしまっていたのかい?
雉:はい。そして、呪いを解く条件が、好きな人に想いが通じることだったんです。
犬・猿:なんだって!?
羊:つまり、今桃太郎さんがこはるさんのことを好きになったから呪いが解けたんだねぇ
桃:そういうことだったのか。それじゃあ、まずは1つ恩返しできたのかな
鬼:なんだかよくわからないが、こはる(雉)さんの呪いも解けたし、桃太郎も元に戻ってくれたし、一件落着だな
桃:そうだな。こはるさん、ありがとう。それにみんなも
(ここで全員少し上下に動く)
羊:じゃあ、全部うまくいったことだし、みんなでおじいさんとおばあさんに会いに行こうかぁ。
全:うん!
(全員右に去っていく)
(羊):その後、おじいさんとおばあさんのもとに帰った桃太郎たちは、みんなで仲良く暮らしましたとさ
全:めでたしめでたし