2010年 秋・冬期公演
シーン1
姫:みなさん、こんにちは!私はタマプラ国のお姫様。私は今とってもワクワクしているの。
何でだと思う?うふふ。だって明日は王子様との結婚式なんだもん。
明日からはずーっと王子様のそばにいられるのよ。もうどーしよう。楽しみだわ。
(お腹の鳴る音)
姫:あ、お腹がすいてきちゃった。そうそうタマプラ国には果物がたくさんあるの。
だからここら辺にも何か果物があるはずだわ。みなさん、どこかで果物の木見ませんでしたか?
あ、あったわ!私の大好きなバナナじゃない。みんなもバナナ好き?あら、このバナナちょっと色がおかしくない?
お母様に色がおかしい果物は絶対食べちゃいけないって言われたことがあるのよね。どうしよう?
でもお腹もすいてるし・・・。いいわ、食べちゃお。
(食べる)
姫:うん!おいしいじゃない。あら、お腹が痛くなってきたわ。痛い。誰か助けて!あーーー。(倒れる)
(消灯)
シーン2
(姫パパが右に行ったり、左に行ったりしてあたふたしている。そこに王子が上手から走ってくる)
王子:お父様、姫が倒れたというのは本当ですか?
姫パパ:ああ。あいつ、毒バナナを食べたみたいなんだ。
あれだけおかしな色をした果物は食べるなって言ってあったのに。まったく、
食いしん坊すぎるんだよ。みんなは変な色した果物を食べるんじゃないぞ。
(観客に向かって言う)
王子:どうすれば治るんですか?薬を飲めば治りますよね?
姫パパ:それが、あいつが食べたバナナの毒は強力で、薬を飲んでも治らないらしいんだ。
しかも、今日中に治さないと、もう永遠に目を覚ますことはないかも しれないんだ。
それぐらい、あのバナナの毒は強力なんだ。
王子:じゃあ、明日の結婚式は?
姫パパ:出来るわけないじゃないか。それどころか、もうあいつとは二度と会えなくなってしまうかもしれない。
王子:そんなあ。どうすればいいんだ?何か治す方法はないんですか?
姫パパ:そうだなあ。
あっ、そういえば、ニコタマ山の頂上にはどんな病気も治すことが出来る薬草があるという話を聞いたことがある。
王子:薬草って何ですか?
姫パパ:草だよ草。薬として使うことの出来る草のことだ。
王子:じゃあそれを手に入れれば・・・
姫パパ:うん、きっと治せるはずだ
王子:分かりました!では今すぐに行ってきます。
(王子走り出す)
姫パパ:あ、ちょっと待て。こいつを連れて行きなさい。モンすけ!
モンすけ:ほーい。
(モンすけ、上手から出てきて、王子の頭に1度乗っかって王子の頭を叩いて、パパのほうへ行く)
王子:イテ、何をするんだ。
モンすけ:ふーんだ。
姫パパ:こいつは、今は私が飼っているんだが、昔はニコタマ山に住んでいたんだ。
だから、ニコタマ山のことはよーく知っている。案内してもらうといいぞ。
ただ、こいつはいたずらが大好きでいつも困っているのだが・・・。
まあいい、こいつを連れて、早く行って来なさい。
王子:ありがとうございます!よし、行くぞモンすけ!
モンすけ:ほーい。
姫パパ:気をつけてな。(手を振る)
(王子とモンすけ、下手へ走り出す)
~タイトルボード~
シーン3
登場人物
王子、モンすけ、おかまゴリラ、木の実
(王子・モン輔が上手から歩いてくる)
王子:ふー、やっと山のふもとに着いたぞ。モンすけ、ここで少しひと休みしよう!
モンすけ:そうだな。
王子:モンすけ、頂上まであとどれくらいだ?
モンすけ:うーん、そうだなー、分かんない。
王子:分かんない!?ニコタマ山のことは何でも知ってるんじゃないのか?
モンすけ:知らないよーだ。
王子:ったく。お前、役に立たないじゃないか。
(上手から、のそのそとゴリラが出てくる。モンすけはゴリラに気付いて下手側に移動するが、王子は気付かない)
モンすけ:おい、気をつけた方がいいぞ。
王子:え、何が?
ゴリラ:おい!俺様の住みかに勝手に入って、何のつもりだ!
王子:え?あ、ごめんなさい。あなたの住みかだとは知らなくて。すぐに出て行くよ。
モンすけ:はっはっはっはっはー。お前、鼻の穴でかすぎ!面白すぎるよ!はっはっはっはっはー。
ゴリラ:何だと!お前、俺様の立派な鼻の穴を馬鹿にしたな!もう頭に来たぞー!このーーー!
(ゴリラが襲い掛かる)
王子:うわぁ!
(1往復ほど逃げ回り、もとの立ち位置に戻る)
ゴリラ:ふー、逃げ足の速いやつらだ。
王子:おい、モンすけ。お前がいけないんだぞ。何とかしろよ。確かに、ゴリラの鼻の穴はでかすぎるけど。
モンすけ:しょうがないな。(下から木の実を出す) じゃあこの木の実をあいつに食べさせろ。
王子:何だこれは?
モンすけ:いいから、早く食べさせろ!
王子:分かったよ。
ゴリラ:何しゃべっているんだ。今度こそ捕まえてやるぞ!
(ゴリラ、走り出す)
(王子、木の実を投げる)
ゴリラ:パク!何だ今の木の実は!?
(ここでゴリラの目をハートにするのが個人的希望ですが、やってみて無理そうなら却下で)
ゴリラ:王子様~!会いたかったわ~。ねえ、こっち来てよ~。
王子:どうしたんだ、あのゴリラは?
モンすけ:今投げた木の実は、‘メロメロの実‘だ。
それを食べたやつは、その木の実を食べさせた人のことが好きになっちゃうんだ。
だからあのゴリラは、今お前にメロメロなんだよ。
王子:えーーー!お前、何食べさせてるんだよ!
ゴリラ:王子様~。大好きよ。私のおうちで一緒に暮らしましょうよ。
私、王子様のためなら何でもするわ。ねえ、早くこっち来てよ~。
王子:おい、早く逃げるぞモンすけ。うわーーー。
(王子、モンすけ、下手へ走る)
ゴリラ:ちょっとどこへ行くのよ。私のおうちはそっちじゃないわ。待ってー王子様~。
(ゴリラ、下手へ走る)
(消灯)
シーン4
(上手から王子、モン輔が走ってくる)
王子:はーはー。もう追ってこないな。おい、何食べさせてるんだよ!
モンすけ:だって、お前が何とかしろって言うからさ。
王子:だからって、メロメロの実なんて渡すなよ。ゴリラと一緒に暮らすなんて、あー考えたくもない。
(モンすけ、下手の方を向く)
モンすけ:あ、頂上が見えてきたぞ。
王子:うわぁ。本当だ!もうすぐじゃないか!よーし、急ぐぞ!
(下手へ、王子、モン輔走る)
シーン5
(下手側にスズランで卵が入ったドラゴンの巣を出しておく)
(ドラゴンの巣よりも下手側に、薬草を出しておく)
(上手から王子、モンすけが走ってくる)
モンすけ:ここが頂上だな。
王子:やったー!やっと着いたぞ。薬草はどこにあるんだ?
モンすけ:あ!あそこにあるのが薬草だぞ。
王子:あ!あったぞ!
(王子、薬草のほうへ走る)
(下手からドラゴン登場)
ドラゴン:おい!お前ら、そこで何をしてるんだ?
王子:あ、勝手に巣に入ろうとしてすまなかった。我々は、
ドラゴン:おい、もしかして、そこにある卵を盗もうとしたわけではないよな?
王子:いや、違うよ。巣の横にある薬草が欲しくて。
モンすけ:そうだよ。おいしそうな卵があるから食べようと思ったんだ。
ドラゴン:何だと?卵を食べるだと。私の大事な卵を。おのれー許さんぞー。
(ドラゴン、王子達に襲い掛かる)
(王子達は、ドラゴンが来たら、人形を下に下げて、しゃがんでいるように見せる)
王子:お前、また余計なこと言いやがって。お前のせいだぞ。どうにかしろよ。
モンすけ:じゃあ、またメロメロの実を使うか?
王子:えー、また?でも今はそれしかないか。じゃあ早くメロメロの実を出してくれ。
(モンすけ、木の実を王子に渡す)
王子:えい
(王子、木の実を投げる)
(ドラゴン、よける)
ドラゴン:何だ今のは!?俺様に物を投げつけるとは、いい度胸してるじゃないか。もう絶対に許さんぞー。
(再び、ドラゴンが襲い掛かり、王子達はしゃがんでよける)
王子:メロメロの実、どっか行っちゃったよ。どうすればいいんだよ?このままじゃドラゴンにやられちゃうよ。
モンすけ、他に木の実はないのか?
モンすけ:あるよ。ほい。
(モンすけ、王子に木の実を渡す)
王子:よーし。えい!
ドラゴン:パク。んっ、今度はなんだ?もぐもぐ。おいしいじゃないか。
王子:おい、今投げたのは何の実だ?
モンすけ:今のは、昨日ニコタマストアで買ってきたお団子だ。あれはおいしいぞ。
王子:えー。お団子あげたって意味ないじゃん。
ドラゴン:おいしいお団子ありがとな。だが、お前らのことを許したわけじゃないからな。すぐに捕まえてやる。
(ドラゴン、再び襲い掛かる)
王子:モンすけ、お団子じゃなくて、役に立つ木の実はないのか?
モンすけ:しょうがないなあ。これで最後だぞ。
王子:あるじゃないか。早く渡せ。
(モンすけ、団子を渡す)
王子:えい!
ドラゴン:パク。お前、俺様に何を食べさせたんだ。んっ、わっはっはっはっはっはー。
どうしたんだ。笑いが止まらんぞ。ぎゃっはっはっはっはっはー。
王子:おい、今投げたのは何の実だ?
モンすけ:今のは‘笑いの実’だ。あれを食べると1日中笑いが止まらなくなるんだ。
王子:じゃあドラゴンは
ドラゴン:わっはっはっはっはっはー
王子:今日はずっとあのままか?
モンすけ:そうだな。
王子:それはかわいそうだな。おっと、いけない。早く薬草を取りに行かなきゃ。
(王子、薬草を取りに行く)
王子:やったー。薬草ゲットだぜ。よーし、これで姫の病気も治せるはずだ。モンすけ、早く帰るぞ。
モンすけ:ほーい。じゃあな、ドラゴン。
ドラゴン:おい、お前たちどこへ行くんだ。待て、逃がさんぞ!
ぎゃっはっはっはっはっはー。へっへっへっへっへっへー。ほっほっほっほっほっほっほー。
シーン6
(あらかじめ下手側に姫がいて、横に姫パパが立ってる)
(上手から、王子・モンすけが走ってくる)
王子:薬草を手に入れて来ました。
(王子、薬草を姫パパに渡す)
姫パパ:よく手に入れて来てくれたな。ありがとう。早くこれを姫に。
(姫パパが姫に薬草を食べさせる)
(少し間をおいて姫が起き上がる)
姫:はー良く寝た。お父様。それに、王子様、モンすけ。みんなどうしたの?
王子:やったー。姫の病気が治ったぞ!
姫パパ:本当に良かった。お前、今までずっと眠ってたんだぞ。
姫:そういえば、私バナナを食べてそれからお腹が痛くなって、倒れちゃったのよね。
姫パパ:そうだぞ。だから、王子様とモンすけがニコタマ山の頂上まで取りに行って来てくれたんだ。
姫:そうだったの。王子様、モンすけ、2人ともありがとう!
王子:いえ、元気でなによりです。
(モンすけがメロメロの実を姫パパに食べさせる)
(姫パパの目をハートにする)
王子:これで明日の結婚式が予定通り出来ますね。
姫:そうね。良かったわ。あれ、お父様は?
姫パパ:待って、王子様。結婚式は私とやりましょう。私も王子様のこと好きなの。
王子:お父様一体何を言ってるんですか?まさか、メロメロの実を食べたんじゃ。
モンすけ!お前の仕業だな―。
モンすけ:え、何のこと?さっぱり分からない。
姫パパ:王子様~大好きよ~。
王子:お父様、落ち着いて下さい。良く見てください。私は男ですよ。
(上手からさっきのゴリラが登場)
ゴリラ:王子様~。やっと見つけたわ。もう、勝手に逃げちゃうんだから。
王子:うわぁ。あいつも来た。これはまずいぞ!逃げろ―。
(王子、下手へ走る)
姫パパ:何で逃げるの?王子様~。
(王子を追う)
ゴリラ:王子様は私のものよ!待ちなさーい。
(下手へ走る)
姫:何言ってるのよ。私と王子様は明日結婚式なのよ。待ってーーー。
(下手へ走る)
モンすけ:何か大変なことになってるけど、俺知―らない。
脚本執筆・監督・著作:Y.Y